「資料の挿絵やSNS用の画像を、毎回フリー素材サイトで探すのに時間がかかる」「外注すると1点数千円かかるし、修正のたびにやり取りが発生する」——こうした悩みを抱える中小企業は少なくありません。画像生成AIは、こうした素材調達のコストと時間を大きく削減できる選択肢として、ここ2年で実務に耐えるレベルまで進化しました。

とはいえ、ツールの種類が多く「結局どれを使えばいいのか」が分かりにくいのも事実です。プロ向けの作画ツールもあれば、資料作成ソフトに組み込まれた手軽なものもあり、目的によって選ぶべきものが変わります。

この記事では、代表的な2つのサービス——MidjourneyとCanva AI——を軸に、それぞれが得意な業務、料金、商用利用のルールを整理します。そのうえで、実際に「会社資料の挿絵」「SNS投稿画像」をどう作るかの手順まで落とし込みます。


画像生成AIとは——業務で使える3つの場面

画像生成AIは、テキストで「何を描いてほしいか」を指示すると、AIが新しい画像を作り出すツールです。著作権フリー素材を探す代わりに、自社の用途にぴったりの画像をその場で作れるのが最大の利点です。中小企業の現場では、主に次の3つの場面で効果を発揮します。

提案資料・社内資料の挿絵

営業提案書や社内マニュアルに添える挿絵やアイコンを、文章のトーンに合わせて作れます。フリー素材だと「言いたいことに合う画像がない」場面が多いですが、生成AIなら「握手するビジネスパーソンを温かみのある手描き風で」のように細かく注文できます。

SNS・ブログのアイキャッチ画像

SNS投稿やオウンドメディアの記事サムネイルは、更新頻度が高いほど素材の手配が負担になります。生成AIを使えば、記事テーマを入力するだけで複数案を出し、その中から選ぶ運用に切り替えられます。

商品・サービスのイメージ画像

まだ写真がない新商品の紹介や、抽象的なサービス概念の図解にも使えます。「クラウドでデータが守られている様子」のような、写真では撮りにくいイメージを視覚化するのに向いています。


MidjourneyとCanva AIを比較する

両者は「画像をAIで作る」という点では同じですが、設計思想がまったく異なります。Midjourneyはクオリティ最優先のプロ向けツール、Canva AIは資料作成の流れの中で手軽に使えるツールです。主要な違いを表にまとめます。

料金・機能・使いやすさの比較表

項目

Midjourney

Canva AI(Magic Media)

月額料金(最安プラン)

約10ドル(Basicプラン)

無料プランあり/Canvaプロ 月1,500円前後

画像のクオリティ

非常に高い(写実・アート両対応)

中〜高(イラスト・素材向き)

操作方法

Discord またはWeb上で英語プロンプト入力

Canva編集画面で日本語入力OK

学習コスト

やや高い(プロンプトのコツが必要)

低い(資料作成の延長で使える)

編集・レイアウト

画像生成のみ(別途編集が必要)

生成→そのまま資料に配置まで完結

向いている用途

こだわりのビジュアル・広告素材

提案資料・SNS・社内文書の挿絵

結論を先に言うと、資料作成やSNS運用が中心なら Canva AI から始めるのが現実的です。日本語で指示でき、生成した画像をそのままレイアウトに配置できるため、ツールを行き来する手間がありません。一方、広告クリエイティブや会社の世界観を表現するメインビジュアルなど、クオリティを最優先したい場面では Midjourney が圧倒的に強いです。

どちらを選ぶべきか——判断の目安

  • Canva AI が向いている人:普段からCanvaで資料を作っている/英語のプロンプトに抵抗がある/挿絵やアイコンが作れれば十分
  • Midjourney が向いている人:写真と見分けがつかない品質が必要/広告やブランドビジュアルに使う/プロンプトを試行錯誤する時間が取れる
  • 両方使う:日常の資料はCanva AI、勝負どころのビジュアルはMidjourney、という使い分けが最も費用対効果が高い

Canva AIで提案資料の挿絵を作る手順

最も導入ハードルが低い Canva AI を例に、実際の作り方を説明します。すでにCanvaを使っているなら、追加のソフトは不要です。

5ステップで画像を生成する

  1. Canvaのデザイン編集画面を開き、左メニューの「アプリ」から「マジック生成(Magic Media)」を選ぶ
  2. テキスト欄に作りたい画像を日本語で入力する(例:「ノートパソコンを見て微笑む30代の日本人女性、明るいオフィス、フラットイラスト」)
  3. スタイル(写真/イラスト/3Dなど)を選んで生成する
  4. 出てきた4案から最も近いものを選び、必要なら表現を足して再生成する
  5. 気に入った画像をクリックして、そのまま資料のページに配置する

プロンプト(指示文)のコツは、「誰が・何をしている・どんな雰囲気で・どんな画風か」を具体的に書くことです。漠然と「ビジネスの画像」と入れるより、要素を分けて指定するほど狙った画像に近づきます。指示文の組み立て方はAIプロンプトの書き方——回答精度を上げる5つのコツでも解説しているので、文章生成と合わせて押さえておくと効率が上がります。

商用利用で気をつけること

生成した画像を商用で使う際は、サービスごとの利用規約を必ず確認してください。実務で押さえるべきポイントは次の3点です。

  • 有料プランかどうか:Canvaの無料プランで生成した画像は商用利用に制限がかかる場合があるため、業務利用ならCanvaプロを前提にする
  • 人物・ブランドの写り込み:実在の有名人や他社ロゴを思わせる画像は生成しない・使わない
  • 「AI生成」の明示が必要な場面:広告や公的な文書では、AI生成であることの表記が求められるケースがあるため、用途に応じて確認する

運用を仕組み化して属人化を防ぐ

画像生成AIは「使える人だけが使う」状態になりがちです。社内で安定して活用するには、ツールの使い方を個人の感覚に頼らず、簡単なルールに落とすことが効果的です。

プロンプトのテンプレートを共有する

よく使う画像のパターン(資料の挿絵、SNSアイキャッチなど)について、うまくいったプロンプトをテンプレート化してチームで共有します。「テーマだけ差し替えれば誰でも同じ品質が出せる」状態を作ると、特定の担当者に依存しなくなります。営業文面のテンプレートを整える発想はAIで営業メールを書く——商談率が上がるプロンプトテンプレート集と同じで、画像でも有効です。

素材の保管場所を決める

生成した画像はクラウドストレージにフォルダを分けて保管し、再利用できるようにします。同じような画像を毎回作り直すのは無駄なので、「過去に作った素材を探す」運用に切り替えると、生成回数そのものを減らせます。


まとめ:画像生成AIは「手軽さ」から始めて使い分ける

画像生成AIの導入は、最初から高機能なツールを使う必要はありません。資料作成やSNS運用が中心なら、まずは Canva AI で「フリー素材探しの時間をゼロにする」効果を体感するのが近道です。そのうえで、広告やブランドビジュアルなどクオリティが問われる場面で Midjourney を併用すれば、費用対効果が最大になります。重要なのは、うまくいったプロンプトをテンプレート化し、誰でも同じ品質を出せる仕組みに落とすことです。


よくある質問

Q. 画像生成AIで作った画像は商用利用できますか?

A. 多くのサービスで有料プランなら商用利用が可能ですが、規約はサービスごとに異なります。Canvaは無料プランだと商用利用に制限がかかる場合があるため、業務で使うなら有料プランを前提にし、利用規約を都度確認してください。

Q. 英語が苦手でも使えますか?

A. Canva AI(Magic Media)は日本語のプロンプトに対応しているため、英語が不要です。Midjourneyは英語での指示が基本ですが、翻訳ツールを併用すれば問題なく使えます。まずは日本語で完結するCanva AIから始めるのがおすすめです。

Q. 月額いくらから始められますか?

A. Canvaは無料プランから試せます(商用利用は有料プラン推奨)。Canvaプロは月1,500円前後、Midjourneyは最安のBasicプランで月約10ドルです。まず無料・低額のプランで運用が回るか確かめてから拡張するのが安全です。

Q. 生成した画像が他社の画像と似てしまうことはありませんか?

A. 一般的なイラストや概念図では問題になりにくいですが、実在の人物・有名キャラクター・他社ロゴを思わせる指示は避けてください。ブランドビジュアルに使う場合は、社内で確認のフローを設けると安全です。


「自社の業務に画像生成AIをどう組み込めばいいか」「どのツールから始めるべきか」を具体的に決めたい場合は、30分の無料相談でご状況を聞かせてください。資料作成・SNS運用・素材管理の現状をうかがったうえで、最初の一歩を一緒に整理します。